妻のくも膜下出血

8月から早めの秋の始めにかけて、あまり調子の良くない日々が続いていた。仕事は重いものがなかったので、ひどく辛いわけではないが、朝の気功はおざなりにしかできない日々が多かった。息子は大学4年なので、本来なら10月で内定式だけど、いまだに内定はなく、大学院に進むという。

僕はいつまで働けば良いんだ・・・・

そう思っていた矢先の今週の月曜日、妻がくも膜下出血で倒れた。一時は生死の境をさまよったが、取り敢えず今は意識障害が残るものの一命はとりとめ、身体の麻痺症状も重篤なものはなさそうだ。

入院して6日目、未だ集中治療室にいて面会は一日2時間に制限されている。10月の連休が終わるまでは、脳梗塞になるリスクが高く予断は許さない。今日は熱が高く、苦しそうで、会話もままならなかった。秋田から妹が出て来てくれたが、理解したようだが、どうにも不安だ。

彼女が回復するまでは、会社の健康保険組合に加入していた方が治療費に関して圧倒的に有利なので、当面会社を辞めることはますますできなくなった。

僕はいつまで働けば良いんだ・・・・
そう言う利己的な思いと、妻の苦しそうな表情を見るに、自分のうつ病のせいで、妻の生活に10年近い苦痛を与えて来たことが、くも膜下出血の原因になったのではないかという自責の念とが交錯し、気持ちは千々乱れる。

最善を尽くしたか。僕の心は人並みの優しさがあるのか。人非人ではないのか。これからの最善の行動とは何か。面会できずに家にいる時に、家事をこなす意外に何をするべきなのか。

頭に一本、鼻に一本、腕に一本、お腹に一本管につながれた妻。脈拍・血圧・酸素濃度・呼吸回数・体温 緑や白や赤の数字が刻々とモニターに映し出される。彼女の生命は数字に支配されている。彼女の脳は開頭された。痛いだろう、苦しいだろう、認識不全に陥るだろう。

俺は持つのか。彼女は回復できるだろうか。肉体的な回復と精神的な回復。